渡辺農園

渡辺農園

渡辺農園は大分県佐伯市の木立地区にあり、2004年頃から本格的な有機栽培を行っています。複数ある圃場の合計面積は約150aで、栽培品目は葉野菜や根野菜など、年間50種類以上にのぼります。2018年頃から、エディブルフラワー(食用花)の栽培も開始するなど新たな試みも行っています。消費者に自分たちが生産している農産物をもっと伝えたいという想いから、2011年に有機JAS認定を取得。また、有機栽培が普及し、希望者全員が有機農法を行える環境づくりのため、農地の貸し出しや、講習会などで有機農法を学ぶことのできる機会を提供する取り組みも行っています。主な販売先は道の駅などの直売所や飲食店です。加えて、将来を担う若い世代にこそ食の安心・安全が必要だという考えのもと、2021年から学校の給食センターへの納品も開始しています。

生産者さんインタビュー

農業を始めたきっかけは何ですか?

きっかけは30代前半から始めた趣味の洋蘭栽培です。最初は農薬を使用していましたが、農薬散布中に体調を崩したことから、無農薬・有機肥料栽培に切り替えました。これが功を奏し、洋蘭展で大きな賞を受賞するまでになります。その頃にはすでに趣味の域を超え、将来も洋蘭栽培の規模を拡大するつもりでいました。しかし、地域の方から野菜の栽培を勧められたことを機に野菜づくりの魅力に触れ、気づけば虜になっていました。

現在特に力を入れていることはありますか?

日本でも数少ないエディブルフラワーの有機栽培です。特に食用のデンファレ(洋蘭の一系統)を栽培し始めたのは当農園が国内初だったので、期待の声も多くいただいています。今後は有機の乾燥野菜や、ヒュウガトウキ(日本山人参)を使用した健康茶の加工・販売にも手掛けていきたいと考えています。

将来の目標を教えてください。

あらゆる作物が収穫できる有機の総合農園に加工場や食堂を併設させた、農福連携のオーガニック村を木立地区に作ることが夢です。地域の方や生産者、施設の働き手はもちろん、訪れた観光客も含むすべての人が有機の食品に触れられるような、そんな場所をつくることができたら良いなと考えています。

渡辺農園 渡辺英征

銀行勤務のかたわら、趣味の洋蘭栽培に励み、独学で有機の洋蘭栽培を確立させる。定年後、野菜作りの魅力に触れたことがきっかけとなり、以降有機野菜の栽培に専念。2004年、本格的に有機農業を開始。2011年、有機JAS認定取得。

渡辺農園

農園のこだわり

当農園では土づくり、肥料づくり、病害虫対策にも微生物を活用しており、微生物農法(サンビオティック農法)とも呼ばれる手法をとっています。栽培する野菜は安全、安心であることが当たり前。そのうえで、常に美味しさを追求し、納得のいく味が出せるように試行錯誤を繰り返しています。
土づくり・肥料
ぼかし肥料(米ぬか、油粕、魚粉、おから、海藻、牡蠣の殻など)を地元の有用微生物菌と混ぜ、約2か月間かけて10回ほど芳醇発酵をさせた、アミノ酸肥料を使用しています。動物性堆肥を使っていないこともこだわりです。
病害虫対策
害虫対策は生物農薬または、コンパニオンプランツ(害虫が嫌う野菜や花の組み合わせで植えること)、にんにく、唐辛子、黒コショウなどを焼酎や木酢液に漬けたものを活用し、寄せ付けないようにしています。病気については、土壌の有用微生物を増やし、病原菌が住みにくい環境を整えることで発症リスクを抑えています。

主な作物

ミニトマト

さといも

にんにく

エディブルフラワー

出荷スケジュール

自慢のミニトマト

生産者さんから一言

手作業が多いのが有機農業。人手不足の現状もあります。しかし、私が長年続けているのは、確かなやりがいと楽しさがあるからです。私のように心から楽しいと思って農業を希望する全ての人が、その道を選ぶことができるように、私自身協力していきたいと思います。

皮を剥かずに料理に使うことができるとシェフの方のお墨付きです。ストレスをかけることで果実の甘みを引き出すのが従来の栽培方法として知られていますが、当農園では逆にストレスをなるべく与えず、のびのびと育つことのできる環境を整えることで美味しいトマトを実らせています。そうして育った当農園のミニトマトは、本来持っている自然な甘み、味を堪能することができると評判です。